ものづくりの世界

巨大産業の内部とは!!

 重化学工業を始め、電気機械工業、軽工業など、日本メーカーの技術力は世界的に見て高い水準にある。
 その中でも、あらゆる産業界の基礎となる素材を生産する鉄鋼メーカーは、日本のものづくりを象徴する産業であり、鉄鋼生産量は国力を表す指標とも言われます。日本を代表する鉄鋼メーカーは、国内の製造拠点から高品質の製品を国外にも提供し、国際社会においても大きく貢献しているといえる。
 このような世界規模の存在感を放つ鉄鋼メーカーでは、広大な敷地に貨物や海上による物流を確立し、消防、救急、警備と、ひとつの町のようであり、その製造拠点を中心に構成される多くの工業施設は、外部からでもその巨大な構造物や鉄塔を見ることができる。
 煙突からは夕日と見間違えるほどの大きな炎、何が通っているのか想像もつかないほど大型で複雑に入り組んだ配管類。
 巨大産業での生産過程においては何から何までスケールが大きく、立ち昇る蒸気、肌に感じる輻射熱、材料の流れる振動など想像をはるかに超える。立ち並ぶ工場内部では、説明なしでは何をしているのか分からないものがほとんど。
 そういったことへの理解から私たちの仕事は始まり、保全の対象となる設備群も巨大かつ複雑であるため、図面だけでは理解できることが限られる。だから現場では日々新しい発見がある。
 メンテナンスという業務を通じて様々な工場で多様な設備の保全を担当すれば、同じ場所で働き続けるよりは見識が広がっていると自負している。

巨大設備の内部1巨大設備の内部2

私たちの3Kの概念

 私たち亀井工業が日々支えている日本のものづくりの現場は、常に厳しい職場環境に晒されています。
 3Kと言われる過酷な現場だからこそ、私たち亀井工業は独自の3Kとして「協働」「共有」「感動」を常に念頭に置き、作業員同士で大切に共有しています。
 機械保全として、メンテナンスをする私たちのチームワークを担う重要な3Kを大切にすることでより高いチームワークを築いていけるのです。

100分の1mmのレベルとは!!

 機械内部や他設備との連動状態がすべて数字で表されるメンテナンスの世界。
 その数値が持つ意味を説明するためには、正しい判断力と確かな知識を習得しなければならない。
 例えば、指先で100分の1mmを感じる事は可能なのだろうか。
 ホワイトボートなどに油性マジックでラインを描き、無地からインクラインへ向け指先を流して、高低差が判別できるのであれば100分の1mmを感じていることになる。インクの厚みがほぼ100分の1mmだといわれているので、このレベルでの調整とは、ホワイトボードを傷つけることなくインクだけを削り落とすような作業になる。
 もう少しだけ数値を上げて例えるなら、人の毛髪の太さは、通常0.07mm~0.1mmといわれる。よって、女性の細い毛髪と男性の太い毛髪を指先で区別できるなら、0.03mm前後の差異を認識していることになる。
 高精度が要求されるものについては、このようなレベルで、設備の状態を診断・調整・据付けなければならない。
 素材メーカーの工場においては、生産過程である素材の状態などを100分の1mm単位で管理している。
 これが機械系技術者たちの世界であり、ここへ辿り着くプロセスはありきたりではない。

100分の1mmのレベル1100分の1mmのレベル2100分の1mmのレベル3

マイナス196℃の世界!!

 温度によって素材はどう変化するのか。
 素材を冷却するため、工業用としては幅広く利用される液体窒素。
 一般的な冷却材は、氷やドライアイス。
 ドライアイスの温度マイナス79℃に対して、液体窒素はそれよりもはるかに低いマイナス196℃。液体窒素によって瞬間冷却された素材は、収縮し小さくなる。この特性変化を利用し、パーツ同士を組み合わせ、作り上げるものの完成度を高める。
 寸法管理を妥協すれば仕上がった機械構造物の品質に大きく影響してしまう。収縮の比率は素材によっても素材の大きさによっても異なる。素材が小さければミクロン単位(1,000分の1mm)での変化となり、素材が大きければ寸法に比例してミリ単位で小さくなることもある。
 また、冷却とは対照的に素材を加熱することで得られる材質変化や熱膨張の特性を利用することもある。材質変化とは熱処理によって素材の硬度を変えることである。
 こうした手法が、私たちのものづくりの基本となる。

素材の膨張と収縮の関係性
3つの全く同じ素材    冷却 常温 加熱
  A = B = C       A < B < C
という寸法(体積)の変化が起こる。

3億6千万/日とは

 日本に14ヶ所存在する鉄鋼メーカーの中で福山地区の粗鋼生産能力は国内で最大級。生産量だけではなく品質も世界最高水準を誇る。
私たちはその生産活動を裏で支える大切な存在。
福山地区は、広大な敷地に高炉・転炉・連続鋳造機などの代表的な設備が多数あり、圧延・冷延・表面処理においては、そのひとつひとつが何百メートルにもなる巨大な生産ライン。
この多種多様な設備群を私たちが定期的にメンテナンスしているからこそ、故障することなく日々安定した生産活動をすることが可能となる。
メンテナンス後に稼働を始めた生産ラインは、次回の定期メンテナンスまで生産を止めることが許されない。もし品質的に不十分な施工で生産ラインを停止させてしまったら、工場によっては最大で日に3億6千万もの影響が発生してしまう。だからこそ、設備を再生していく過程において人のこだわりが生まれ、そのこだわりが工場で操業に携さわる方の安全を守ることへも繋がる。

全国トップレベルの安全

 人の安全が何よりも最優先されることは、どの業界であれ共通することであり、日常生活においても「安全」や「安心」の言葉を見ない日はない。しかし、企業や組織によって温度差があることも事実である。
 全国のプラントを施工して肌で感じることは、私たちが拠点とする福山地区は他地区と比較し安全の感性が非常に高いということ。安全については、鉄鋼業界だけではなく全産業界と比較しても高レベルであると自負している。
 そして、私たちの業界では、一般的には聞き慣れない「ご安全に!!」という挨拶がある。日常的に交わされるこの言葉は、相手の事を思いやる気持ちであり、現場施工においては、設備を守るだけではなく、仲間の安全を的確に守ることが大切。
また、年間を通じて、災害防止協議会や安全衛生委員会へ参加することで、安全活動方針、災害事例の水平展開、実戦トレーニング、ルールの周知徹底を図り、統制のとれた安全な会社を目指している。
 永遠のゼロ災に挑戦するメンテナンスのプロであり続けるために私たちは、施工技術だけではなく安全についても日々勉強し、そして、良い手本となって繰り返し学ぶことが重要だと確信している。

JFEスチールのご紹介

 JFEスチールは高炉を所有し、鉄鉱石を原料に最終製品の生産までを一貫して行う鉄鋼メーカー(高炉メーカー)です。世界トップクラスの鉄鋼生産規模を持ち、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します」という企業理念のもと、お客様や社会のニーズに応える鉄鋼製品をグローバルに提供しています。また、最先端の環境調和型製鉄プロセスの構築や、高機能鋼材の開発を通じて、製造工程はもとより製品においても環境負荷の低減に貢献しています。
(引用:JFEスチールwebサイトより)

例えば・・・

●スカイツリー


 2012年に完成した「東京スカイツリー」。この世界一の高さを持つ自立式電波塔に、JFEスチールは高強度の円形鋼管8,300トンを供給しています。JFEスチールは、塔の最下部から、アンテナを取り付ける頂上部の「ゲイン塔」(地上495~634m)と呼ばれる部分までの鋼管を一貫して供給しています。厚板や形鋼など様々な鉄鋼製品、約12,700トンを「東京スカイツリー」に供給し、プロジェクトに参加した鉄鋼メーカーの中で最大の供給量となりました。

●鉄道レール


 鉄道には物を運ぶ貨物輸送と人を運ぶ旅客輸送があり、海外、特に北米・南米・豪州といった鉱山鉄道のある国々では石炭などの重貨物を運ぶ鉄道が多く、レールの摩耗が酷く、中でも曲線部は遠心力で特に摩耗が進む為、摩耗に強いレールを必要とされ、より耐摩耗性に優れたレールの開発が切望されていました。
 JFEスチールが開発した重量貨物専用レール「SP3」が北米最大級の鉄道会社「BNSF鉄道」に採用されると、南米や豪州などの鉱山鉄道にも採用され、高い評価を得ています。

日本のメンテナンス技術のご紹介

日本人としての誇り

日本のモノ造り産業は技術、品質、耐久性など
世界のトップレベルを走り続ける。
繊細さ、丁寧さ、諦めない強い心・・・。
日本人だからできること。

メンテナンスの真価

モノ造りとメンテナンスは表と裏のような関係。
しかし近年、宇宙ロケット、車、鉄道、高速エレベーター・・・。
多くの事業でこれまで裏の存在であった日本のメンテナンス技術が世界から称賛され、世界が必要としている。
例えば、国土が狭く、複雑な日本の地形を高速で走り抜ける新幹線。
完成度の高い日本の新幹線を今、世界の多くの国で導入を検討している。
それ以上に故障しない日本人のメンテナンス技術を欲しがっているのです。

Plant Saver プラントセイバー

工場内の全ての人たちが安心して仕事ができる
環境作りを任されている亀井工業。
毎日、危険と隣り合わせの現場だから、
ただのメンテナンス業務ではない。
毎日の「当たり前」を守るプラントセーバー。
誇りと使命感が必要とされる厳しい現場。
だからこそ、信じ合える仲間の存在が必要。
少数精鋭の理由はここにある。