平成最後の夏の出来事

2018年12月

平成30年を振り返れば、危険な酷暑、記録的豪雨など、日本は、気候変動の中で様々な自然災害に悩まされる国だと気付かされます。豪雨災害については、日本全土を対象とすれば毎年のように起きているように思えます。家や畑を流し去る惨憺たる光景は、遠い国の話ではなかったということ。こうした人知を超える大災害に、私たちは一体どう向き合えばいいのでしょうか。

大きな河川ではなくても、中小の河川の氾濫によっても大規模な水害に発展すること。山崩れによる被害が半数以上を占めることから、地質的な特徴によっては大きなリスクを招くこと。情報量の格差が大きな被害を生むことなどが、改めて浮き彫りとなりました。

危険が迫っていることが、事前に予想されていても、今までに自然災害で危険を感じたことがなければ、深刻さが伝わらないことはありますし、何もかもが簡単に調べられる世の中になったことで、日頃から知識を増やし、学習することを軽視しがちな風潮も背景にあるのかもしれません。

適正な避難場所、避難するタイミングや動線など、すべてを見直し、危機管理意識を浸透させ、実際の行動に結び付ける為のきっかけとなるのは、やはり地域のネットワークが最も大切ではないかと感じます。教訓は、活かしてこそ教訓であり、先の災害に学び、次の災害に備えることを忘れてはいけません。

そして、平成23年(2011年)の大震災以降、地震も起こりやすくなっており、150年に一度の超巨大地震は、目前ともいわれています。地震を含めれば、日本に安全な場所などないのかもしれません。膨大なエネルギーを人工的に制御したり無力化したりすることは出来ませんが、防災への入口となるのは、自然環境と大地の成り立ちを正しく知ることなのかもしれません。

地質や気象などは、多発する自然災害と関わりが深く、日本のより良い未来のため、地学に興味を抱き学ぶ若者が増えてくれればと期待するばかりです。